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奈落の森の聖姉妹 第1章 伝説の森の悪魔(2)
「ふう・・・」
エルフの少女神官アイーシャは、森のほぼ中央にある小さな花園へと足を踏み入れて、緊張をときほぐすかのように大きく息をついた。
健康的な肌色をした端正な面立ちが、花園を満たす初夏の陽射しを浴びてツヤツヤと光輝く。
濃い緑色の髪が、両肩の上で羽根のようにフワリと踊った。
内側に緩くカールしたその髪型は、16歳になったばかりの彼女には心もち重苦しく、不釣り合いに見える。しかし彼女は、そんなことをいっかな意に介していなかった。
(あたしはもう、一人前だもの。いいえ、神術の実力なら、モニカ姉さまにだって絶対に負けやしない!)
その自惚れはあながち根拠のないことではなく、事実彼女は、神官長の親衛隊「光の盾」の最年少メンバーとして、末席に名を連ねているのだ。そして親衛隊の「西の礎」の長として20人の神官を従える2つ年上の姉モニカも、神術行使の才能では、この勝ち気な妹に一目も二目も置いているのだった。
そのアイーシャが、今は髪の先がチリチリするような緊張の中に身を置いている。彼女は、とある目的のためにここにやってきたのだ。
不気味に黒く、彼女を押しつぶすかのように包む森、いにしえより「イヴァンの掌」と呼び慣わされているこの森へと・・・。
エルフの少女神官アイーシャは、森のほぼ中央にある小さな花園へと足を踏み入れて、緊張をときほぐすかのように大きく息をついた。
健康的な肌色をした端正な面立ちが、花園を満たす初夏の陽射しを浴びてツヤツヤと光輝く。
濃い緑色の髪が、両肩の上で羽根のようにフワリと踊った。
内側に緩くカールしたその髪型は、16歳になったばかりの彼女には心もち重苦しく、不釣り合いに見える。しかし彼女は、そんなことをいっかな意に介していなかった。
(あたしはもう、一人前だもの。いいえ、神術の実力なら、モニカ姉さまにだって絶対に負けやしない!)
その自惚れはあながち根拠のないことではなく、事実彼女は、神官長の親衛隊「光の盾」の最年少メンバーとして、末席に名を連ねているのだ。そして親衛隊の「西の礎」の長として20人の神官を従える2つ年上の姉モニカも、神術行使の才能では、この勝ち気な妹に一目も二目も置いているのだった。
そのアイーシャが、今は髪の先がチリチリするような緊張の中に身を置いている。彼女は、とある目的のためにここにやってきたのだ。
不気味に黒く、彼女を押しつぶすかのように包む森、いにしえより「イヴァンの掌」と呼び慣わされているこの森へと・・・。
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